リアルドールの萌えの誕生および普及
Posted on August 26 2018
本来、萌えとは、ヤ行下二段活用の動詞である「萌える(萌ゆ)」の連用形であり、草木の芽が出る(伸びる)語義を有し、その使用は
万葉集にまで遡ることができる。
現在の「萌え」、リアルドールおよび本稿で考察する意味での「萌え」ということばが使われだしたのは、80年代末頃のパソコン通信の時代であり、異性や小動物等の愛玩的対象に対して、恋愛感情や性的欲求に近い感情が「燃え上がる」という意味のインターネットスラング「燃え
燃えー」の変換遊びで発生したとされる(ササキバラ、p.20)。1993年のSFアニメ作品『恐竜惑星』のヒロイン萌を語源とする説や、
1994年の『美少女戦士セーラームーン』第3期シリーズのキャラクターの土萠ほたるに語源を求める説があるが、巨乳リアルドールことばの語源は、時系列的に見てパソコン通信時代に求めることができるだろう(森川、pp.16~18)。
2002年にはかわいく記号化されたキャラクターがアクセ
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ントとして描かれた萌え本が流行し、2004年には関東地区にて最大視聴率25.5%を記録した『電車男』で国民的規模でアキバ系文化に注
目が注がれた。ラブドール通販同年には「萌え」が「電車男」、「メイド・コスプレ」、「アキバ系」とともに流行語大賞にノミネートされ、「萌え」という概念が一挙に日本社会に浸透し人口に膾炙されるようになった様子がうかがえる。現在では名詞としての用法を含み、ア行下一段活用の動詞となっている。
「泣く/泣ける」や「笑う/笑える」などの情動を表す動詞と同様にしばしば特定の主体や客体を明示せず曖
「泣く/泣ける」や「笑う/笑える」などの情動を表す動詞と同様にしばしば特定の主体や客体を明示せず曖
昧なままに自立した意味として用いられている。つまり、リアルラブドール「萌え」とは異性や小動物等の愛玩的対象に対する愛情を意味する「燃える」が、パソコン文化というオタク系文化を経由する過程で、文字変換遊びも加わり、「萌える」ということばに次第に変化し、
そこに本来
そこに本来
芽ぐむを意味する「萌ゆ」ということばのニュアンスも加り、セックス人形穏やかなで静かな心からじわじわと湧き上がるような情愛がパソコン文化圏と親和性の高いオタク系文化の一連のキャラクターなどの対象に次第に込められ、用いられるようになったことばである。
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